人気ブログランキング | 話題のタグを見る

五分の虫にも一寸の魂

五分の虫にも一寸の魂_a0429324_10040299.jpeg

衆院選挙戦たけなわである。

日頃は市井の私たちと政治家の方々の
距離にかなりの隔たりを感じているけれど
選挙運動中の候補者の方々の
親近感を醸し出すこの雰囲気には
驚きを通り越して唖然としてしまう。

〈一寸の虫にも五分の魂〉
という諺がある。

老若男女、
さまざまに与えられた環境で
精一杯生きている。

票集めに悩むと
市井の一寸の虫の存在が
フィーチャーされるようだ。


〈一寸の虫に五分の魂〉どころか
〈五分の虫に一寸の魂〉
と言った人がいる。

『豆腐屋の四季』
でデビューし、
のちに市井の隅に埋もれたような
社会運動に身を投じ
発信してきた松下竜一がその人だ。

『五分の虫、一寸の魂』
は九州電力の豊前火力発電所建設反対運動の
裁判記録である。

弁護士をつけない裁判として
注目されたが、敗訴になった。

松下竜一が旅立って20年、
生涯、中津を離れなかった
九州男児である。

デビュー作『豆腐屋の四季』には
豆腐屋としての日々の営みを
詠んだ短歌にエッセイが添えられている。

「泥のごと出来そこないし豆腐投げ
怒れる夜のまだ明けざらん」

初めて朝日歌壇に採りあげられた歌である。

「わがつくる豆腐も歌も我が愛も
つたなかりされど真剣なり」

かなりな情緒的な短歌の数々である。

思えば
百人一首など和歌以外で
私が短歌に触れた
初めてのエッセイだったかもしれない。

あれから四半世紀を経て
本格的に短歌を始めた。

情緒あふれる歌が
時としてできるが
詠み手としては
かなり恥ずかしい。

歌のカケラ連なりをどりだすまでを
ペンギンの卵のやうにあたためてゐる

by VIN0418 | 2026-01-31 14:12 | 読書 | Comments(0)